書く機会は多いけど、なかなか慣れないもの…
それが、作文です。
作文用紙の基本的なルールや、読みやすい作文にするためのテクニックを確認してみましょう。
作文を書く前に知っておきたい基本ルール
原稿用紙を使うときには、次のような決まりがあります。
原稿用紙の使い方:タイトル・名前・段落のルール
タイトルは1行目に、上から2~3マス空けて、書きましょう。
学年・組・名前は、二行目の下の方に書きます。組と名前の間・名前の下は、1マス空けます。
本文の書きだし・段落の初めは、1マス空けます。
句読点やかぎかっこの正しい使い方
句点・読点について句点や読点は、1マス使って書きます。 間違えやすいポイントとして、行の最初に持ってくることはできません。行の最後に来てしまった場合は、行末のマスに文字と一緒に入れることができます。
かぎかっこについて会話文は改行して、「」を使って書きます。「と」は、それぞれ1マス使います。会話文の終わりの句点と」は、1マスで書きます。これも、行の頭にきてしまう場合は、前の行の最後のマスに入れます。
文体の統一:です・ます調とだ・である調
作文を書くときには、2パターンの文体が考えられます。
です・ます調例)
私はこの夏休み、家族と水族館に行きました。水族館では、イワシの大群や、イルカのショーを見ました。お土産に買ったイルカのぬいぐるみは、私の大切な宝物です。
だ・である調例)私はこの夏休み、家族と水族館に行った。水族館では、イワシの大群や、イルカのショーを見た。お土産に買ったイルカのぬいぐるみは、私の大切な宝物だ。
この2つは、1つの作文の中で混在させず、どちらかにそろえて書きます。そうすることで、読みやすい文章にすることができます。
作文のテーマ設定とアイデアの出し方
興味を持てるテーマを選ぼう
作文で重要なのは、書きやすいテーマにすることです。
書きやすいテーマとは、たとえば
・自分が普段から親しみ、よく知っているもの
・感情が大きく動いた経験がある出来事
などです。
どちらにせよ、文字をたくさん書くのは結構忍耐が要りますので、
なるべく自分が興味を持っていて、書きたいと思えることがあるテーマを選ぶのがよいです。
書き出してアイデアを広げる
テーマは決めたものの、何から手を付ければ…
そんなときには、こんな手法を試してみましょう。
テーマが「学校行事」だとします。
ステップ1 紙とペンを用意します。ステップ2 「学校行事」と聞いて思いつくものを、どんどん書いていきます。ステップ3 書きだした項目から線を引っぱり、思い出したエピソードや感情を書きだしていきます。ステップ4 書き出した内容のうち、作文にできそうなものを選びます。
ポイントは、「考える前に書く」です。「こんなこと書いていいのかな?」と心配せず、自由に思いつくままに書き出しましょう。
出したアイデアを整理する
よく覚えているもの、たくさん書けそうなものを選んだら、書きだした事柄同士のつながりや、新たに思い出したことを整理して、大まかにどんなことを言いたいか、を考えます。
修学旅行
・班行動では、計画を立てるときにもめた。 →きちんと計画を立てたいのに、意見がまとまらず怒ってしまった。・計画通りいかなかった →当日は、道が混んでいて計画通りいかず、行ける場所が減ってしまった。 せっかく計画を立てたのに、とても焦った気持ちになった。・でも楽しかった →ガイドさんが提案してくれた小さい神社に行き、アイスも食べた。 →ガイドさんの説明が面白くて、友達とのおしゃべりも楽しかった。 →アイスは修学旅行で食べた中で一番おいしかった。 →計画通りいかなかったことは全然気にならなくなった。
・予定通りいかなくても、臨機応変に切り替えて、楽しい時間を過ごすことが できると学んだ。
作文の構成を考える
わかりやすい作文を書くには、いくつかの型を意識するとよいです。
基本構成①:序論・本論・結論型
全体を3つのまとまりに分けて書きます。
序論
文章の書き出しの部分。これから書こうとする話題や問題を示す。
本論
文章の中心となる部分。具体例や、それに基づいた自分の意見を述べる。
結論
自分がもっとも言いたいことを示す部分。本論をまとめて、最終的な自分の主張を書く。
基本構成②:起承転結型
全体を4つのまとまりに分けて書きます。
起
文章の書き出しの部分。これから書こうとする話題や問題を示す。
承
文章の中心となる部分。具体例や、それに基づいた自分の意見を述べる。
転
承の部分を受けて考察を進める。承の部分と対立する意見を示したり、ほかの可能性を示したりしてもよい。
結
じぶん自分がもっとも言いたいことを示す部分。承・転の部分をまとめて、最終的な自分の主張を書く。
実際に作文を書いてみよう
下書きからスタート
いきなり「私は…」と書き始めると、途中でうまく繋げられなくなったり、決めた構成が崩れて読みにくくなってしまう可能性が高いです。
まず全体の下書きをしてみましょう。
序論、本論、結論、または、起承転結で分けてそれぞれの項目に書く内容をざっくり書いてみます。
起:修学旅行で一番の思い出は、班行動。
承:班行動は計画段階でもめて不安だったうえ、当日計画通りいかずに焦った。
転:ところが、臨機応変な対応で、楽しい時間を過ごすことができた。
結:予定通りいかなくても、臨機応変に切り替えて、楽しい時間を過ごすことができると学んだ。
文法や表現を気にせず書く
大まかな流れがわかったら、それぞれのパートを肉付けするつもりで書きだします。
まずは完ぺきを目指さず、どんどん書いてみましょう。
書きながら、新しい情報を思い出すこともあります。
そういった情報も自由に付け加えていってみてください。
推敲する
一度書き切ってみた後で、全体を読み直します。
このとき、作文用紙のルールが守れているか、文末表現や接続詞がおかしくなっていないか、
また、下書きで決めた大まかな流れと、「この作文で何を言いたいか」がぶれていないか、を確認します。
少し面倒ですが、この作業を行うことで読みやすさが格段に変わるでしょう。
上手な作文をかくコツ
読者を引き込む面白い導入の作り方
書き出しをちょっと工夫するだけで、先を読みたくなる作文にすることができます。
いくつかテクニックがあるので、一部ご紹介します。
質問形式で始める
あなたは最近、心に残る出来事がありましたか?
こう聞かれたら、どうでしょうか。
どんな話が始まるのだろう、という気持ちになりますね。
読む人に自分に当てはめて考えてもらうことで、より身近な話題として読んでもらえる効果もあります。
驚きの事実やデータを提示する
日本人が1年間で使う紙の量は、一人あたり約210kgだと言われています。
はじめに、えっ!と思うような驚きの事実を提示するやり方です。
知らなかった!と思える内容であったり、予想を裏切るインパクトのある数字であったりすると、効果が高いです。
自分の体験やエピソードを語る
初めて作文コンクールに挑戦したとき、緊張で手が震えていたことを今でも覚えています。
実体験に基づく言葉は、それだけで説得力があります。
上記の例では、「緊張していた」ではなく、「緊張で手が震えていた」とすることで、よりリアルな場面が想像できるようになっています。
名言やことわざを引用する
「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、実はこの言葉が私の作文を書く際の大きな助けになっています。
インパクトのある内容で始められないケースでも、名言やことわざの引用をすることで、印象的な導入となります。
名言を引用する場合、著作権がある場合があるため、注意しましょう。
意外性のある内容で引き込む
作文は嫌いだと思っていました。でも、ある日突然、楽しいと思うようになったのです。
読む人が、「え!どうして??」と思うような内容から始めることで、先を読みたくなるようにします。
「○○と思っていた。でも[しかし/だが/ところが]、○○だった」のように、逆説の接続詞でつないでみましょう。
読みやすい文章を作る語彙の選び方
次の文章を読んで、どのように感じますか?
合唱コンクールに向けて、ぼくたちはすごく練習をしました。すごく早い時間から朝練をし、授業が終わった後も遅くまで練習をしました。結果は、2位でした。すごく悔しかったけど、優勝したクラスの合唱はすごくきれいだったので、すごいと思いました。来年の合唱コンクールでは、今年よりもすごい合唱をするぞ!と思いました。今からすごく楽しみです。
これを、このように変えてみます。
合唱コンクールに向けて、ぼくたちはすごく一生懸命練習したと思います。朝は早い時間から、授業が終わった後も遅くまで、練習を重ねました。結果は、2位でした。すごく悔しかったけど、優勝したクラスの合唱はとてもきれいで、彼らもたくさん練習をしたんだな、と思いました。来年の合唱コンクールでは、今年よりも素晴らしい合唱をするぞ!と心に決めています。今からすごく楽しみです。
少し読みやすくなった気がしませんか?
1つ目の文章では「すごく」という表現がたくさん出てきます。
「とても」「練習を重ねた」「素晴らしい」など別の表現に置きかえると、少し読みやすくなります。
「すごく」の中身がより具体的になるので、共感も得やすいです。
「すごいと思った」という部分も、どうすごいと思ったのか?と書き替えてみました。
また、同じ文章の終わり方(この場合は、「ました」)が続くと、それも読みにくさの一因になります。文末表現も少しバリエーションが出るように考えてみるとそれだけで作文のレベルが上がります。
むずかしく感じるかもしれませんが、
1)辞書を引いて、同じ意味で違う表現がないか探してみる
2)より具体的に気持ちを説明できないか考えてみる
をまず意識するといいかもしれません。
入試でも問われる作文力
さて、作文といえば文集や読書感想文など、学校の課題として出ることが多いですが…
高校入試でも、短い課題作文や条件作文、資料を読み取ってまとめる作文などが出題されることがあります。
「完全攻略 高校入試3年間の総仕上げ 国語」では、
入試で出される作文について要点をまとめ、例題を出題している単元があります。
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入試の作文は普段の作文よりも文字数や時間が少ない中でまとめる必要があり、別途対策しておくことが重要です!今日学んだことを基本にしつつ、色々な問題に触れてみてください。
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まとめ
作文を書くのは、難しいものです。
なぜ書かないといけないのか?と思うことも多いかもしれません。
作文を書くことで、どんな力が身につくのでしょうか。
作文では、「どうすれば読みやすくなるか」「どうすれば読みたくなるか」を考えて書くことが必要になります。
また、枚数や字数に制限があれば、その文字の中でうまく情報を伝える工夫もしなければなりません。
そういう作業を通して、自分の考えや気持ちを整理して他者に伝える力がつきます。
このような力は「書く」ときだけでなく「話す」ときにも役立ちます。
いつか大人になったとき、仕事で、社会生活で、必ず役に立つ時が来るはずです。