
算数と数学の違いってなに? 中学校の数学でつまずかないために
小学校では「算数」だったのに、中学校に入ると「数学」に教科名が変わりますよね。
「名前が変わったけど、内容も変わるの?」と不思議に思ったことはありませんか?
この記事では、「算数」と「数学」のちがいや、それぞれの考え方について、わかりやすく説明します!
算数と数学の区別
日本では
算数も数学も、数や図形について学ぶ教科です。
日本の学校では、小学校で学ぶのが「算数」、中学校から学ぶのが「数学」と決められています。
海外では
では、海外ではどうでしょう?
たとえばイギリスでは、小学校からずっと「mathematics(マスマティクス、略してmaths)」を学びます。
日本のように「算数」と「数学」に分けていません。
ちなみに英語には「arithmetic(アリスマティック)」という言葉もありますが、これは計算に関する分野のことを指します。
算数ってどんな教科?
算数で学ぶこと
小学校の算数では、たし算・ひき算・かけ算・わり算などの基本的な「計算」や、小数、分数などの「数」、三角形や四角形、円などの「図形」について学びます。
また、「変化と関係」や「データの活用」なども学びます。
目的は「生活で使える力」を身につけること
算数の目的は、ふだんの生活で役立つ力をつけることです。
具体的には、次のような力です。
- ・計算の意味を理解して、正しく使えるようになる力
- ・図形の形や大きさを理解する力
- ・表やグラフで情報を整理して表現する力
- ・問題を順序立てて考えて解決する力
もう少し、具体的な例を見てみましょう。
- ・買い物でおつりを計算するには?
→ たし算、ひき算、かけ算、わり算を使う
- ・15分間で水そうに入る水の量を求めるには?
→ 1分間に入る水の量を求め、15分後の量を計算する
- ・目的地まで何分かかるか調べるには?
→ 「速さ・時間・道のり」の関係を使って計算する
このように、算数で学ぶのは日常生活で使える知識です。
具体的な数値を求めるのが算数と考えることもできます。
数学ってどんな教科?
数学で学ぶこと
中学校に入ると、「数と式」「図形」「関数」「データの活用」などを学びます。
これらは、「算数」の内容の続きですが、より頭の中で考える場面(抽象的な場面)が多くなります。
例えば、次のようなものが登場します。
- ・実物では見えない「マイナスの数(−)」が登場。
- ・図形に「証明」が登場。証明とは、あることが正しいと論理的に説明することです。
数学の目的は「筋道を立てて考える力」を育てること
数学では、物事を順序立てて考える力(論理的思考力)を育てます。
具体的には、次のような力です。
- ・抽象的に考える力
- ・いくつかの情報から、法則やルールを見つける力
- ・決まった手順で、間違えずに考えを進める力
- ・証明や式の意味を理解し、考え方を伝える力
算数との大きな違いは、「なぜそうなるのか?」を筋道立てて説明することが求められる点です。
算数と数学の違いを問題で比べてみよう
ここからは、「算数」と「数学」の類似問題を見比べてみましょう。
例)変化と関係
算数
▲『小学教科書ワーク 算数 6年 東京書籍版』p.111
☆算数では、2つの数の関係を実際に数え上げて調べます。
数学
▲『中学教科書ワーク 数学 中1 東京書籍版』p.104
☆数学では、2つの数量の関係を文字を使った式で抽象的に表します。
ここで問題!
長さの等しい棒で、下のように四角形をつなげた形をつくります。
四角形の個数が x 個のとき、棒の本数を、文字x を使った式で表してみましょう。
答え:
1+3x(本)
例)おうぎ形の面積
算数
▲『小学教科書ワーク 算数 6年 東京書籍版』p.66
☆算数では、円周率を3.14として計算し、答えを具体的な数値で求めます。
数学
▲『中学教科書ワーク 数学 中1 東京書籍版』p.104
☆数学では、円周率を πとして計算します。
ここで問題!
この図形の面積を、円周率 をπとして求めましょう。
答え:
π×42×90/360=4π(cm2)
算数が得意だったのに数学でつまずくのはなぜ?
原因①:算数の基礎がしっかりしていない
中学の数学が難しいと感じる人は、実は「算数」の基礎が十分に身についていないことがあります。
算数・数学は、積み上げの教科。前の内容がわからないと、新しい内容が理解できません。
中学に入る前に、小学校の内容で「わからないところ」や「忘れているところ」がないか、もう一度振り返ってみましょう。
また、計算力を高めるには問題演習が大事になります。問題集やドリルを使って、苦手な単元を復習しましょう。
原因②:答えがあっていることだけを重視している
算数ドリルなどの答えあわせで、答えがあっていれば〇にしていませんでしたか?
数学のテストでは、途中のプロセスも重要で、途中式が間違っていると減点される場合もあります。
数学では答だけでなく、そこに至る過程もしっかり理解していないと、つまずいてしまうことがあります。
原因③:「考え方のプロセス」が苦手
数学では、「どうやってその答えになったか」という考え方の過程(プロセス)がとても大切です。
考え方のプロセスを身につけるには、まず例題をしっかり読んで、考え方の流れを理解しましょう。
そのあと、似たような問題を解くことで、「考え方のプロセス」が自然と身につきますよ。
算数・数学のおすすめの問題集
この記事の例題で取り上げたシリーズを紹介します。
「小学教科書ワーク 算数」
教科書に合わせた準拠版の問題集で、学年別の発行です。
全ての教科書に対応した「数と計算」「文章題・図形」も学年別に発行しています。
小数や分数、割合、図形など、苦手な単元がある方はこちらをご利用ください。
「中学教科書ワーク 数学」
教科書に合わせた準拠版の問題集で、学年別の発行です。
教科書準拠の問題集を探すなら!
まとめ
小学校の「算数」は、生活に使える力を育てる教科、
中学校の「数学」は、それをもっと深く、論理的に考える教科です。
「数学が難しいな」と感じたら、算数に戻ってみるのもおすすめです。
また、答えだけでなく「どう考えたか」を大切にしながら学ぶと、きっと数学も得意になりますよ!