2025/02/25

中学生応援コラム 第2回「高校入試の捉え方(2) 受験形態」

皆さん、こんにちは!


このコラムでは、中学生が学校の勉強をスムーズに進め、良い高校入試を迎えるサポートをするために、学校の勉強や入試に向けて取り組むべきポイントをお伝えしていきたいと思います!

 

 

 

 


第2回は、入試の「形態」と、入試に向けた大切な準備・ポイントをお伝えしていきます。




入試の「形態」

高校入試の大部分は、「推薦入試」と「一般入試」の二つに分かれます。

推薦入試は、学校の成績(内申点)と、作文や面接などそれ以外の要素を評価して行われるため、内申点が高ければ高いほど有利になります。

一般入試は筆記試験を軸としており、学校によって筆記試験一発勝負の場合もあれば、内申点と筆記試験の両方を評価する場合もあります。

 

また、前回のコラムでお伝えした公立私立では、入試制度が大きく違います。さらに、同じ公立でも都道府県が違うと全く制度が違ってきます。

公立高校を考えている方は、住んでいる都道府県の入試制度をしっかり調べておくことをオススメしますし、私立高校を考えている方は、学校によって違いがありますので、どの学校に興味があるかピックアップして、それぞれの学校の入試制度をしっかり調べておくといいでしょう。

 

 

どうやって選ぶ?

少し具体的に事例を紹介します。

 

例えば地道に努力を続けてきて内申点は高いが、筆記試験の得点に不安がある人は、推薦入試を選ぶと高い内申点を軸に高校を選べるので、色んな高校に合格できる可能性があります。

 

また、逆に内申点はなかなか上げられないが筆記試験で高い得点が取れるようでしたら、一般入試を中心に考えるといいでしょう。

 

また、「この学校に行きたい!」という高校が明確に見つかった場合は、推薦入試を前向きに検討して欲しいところです。

推薦入試は一般入試より先に行われることがほとんどで、その場合は仮にうまくいかなくても一般入試で再度受験することが可能です。チャンスが2回に増えるという意味で、志望校に合格する可能性が高まります。

 

一方で、いくつかの高校で迷っているとか、特に行きたい高校が見つからないような場合、推薦入試で合格してしまうとその学校に進学する必要があるので(一部「併願推薦」を除く)、推薦入試の受験は避けた方がいいでしょう。

一般入試についていうと、公立高校の場合は内申点と筆記試験の得点が半々に評価されたり、内申4:筆記6と少し筆記試験が重たくなったりするケースが多いようです。推薦でも一般でも内申点は重要な要素になっているので、学校の普段の学習にしっかり取り組み、高い内申点を目指していくことはどの学校を受けるにしても非常に大切なポイントです。

一方で、私立高校の一般入試のほとんどは、内申点は考えず筆記試験の得点のみが評価対象になります。受験科目は英語・数学・国語の3科目が多いのですが、理科・社会を含めた5科目の高校もあれば、数学のみ・英語のみなどの単科入試という制度のある高校もあります。

私立高校の場合は入試制度に高校の考え方が現れるケースが多いので、自分にあった入試制度のある高校を選ぶ、というのもいいかもしれませんね。

 

 

まとめてみると

 

公立の場合

 

推薦

一般

内容

面接、小論文など

筆記試験
(通常5科目、特殊ケースあり)

評価対象

内申点が大部分

筆記得点と内申点
(筆記の方が重い傾向)

特徴

合格=進学

自校作成問題や特色検査など自治体によって制度がまちまち

 

私立の場合

 

推薦

一般

内容

面接、小論文など

筆記試験
(通常3科目、特殊ケースあり)

評価対象

内申点が大部分

筆記得点のみ対象となるものがほとんど

特徴

スポーツ枠、英語特化枠など学校の特色がある

「併願推薦」のある学校も

人気のある高校の筆記試験は非常に難解

学校によってかなり制度に特徴が現れる

 

 

このように、多くの入試制度においては内申点が重要な判定材料になります。

中1〜中2のうちは、日々の学習に力を入れつつ内申点を目標に進めていき、中2の夏頃からはどの高校を受験するか考え始め、中3の夏には志望校を絞って入試制度を踏まえた準備を進める、という流れが良いと思います!

家庭の中でもしっかりコミュニケーションを取って、受験を受ける子ども本人が納得いくような受験の形が見つけられるといいですね。

 

 

 

次回は、重要だという「内申点」について詳しく解説していきます!

 

 


 

筆者:金澤 浩(かなざわ ひろし)

大手学習塾で20年以上指導し、様々な生徒を合格に導く。
現在は共育コンサルタントとして講演会や個別での進路選択や学習の支援に取り組む

記事一覧へ

関連記事

中学生応援コラム 第1回「高校入試のとらえ方(1) 種別と学科」

皆さん、こんにちは! 金澤 浩です。     このコラムでは、中学生が学校の勉強をスムーズに進め、良い高校入試を迎えるサポートができればと思い、学校の勉強や入試に向けて取り組むべきポイントを全10回でお伝えしていきたいと思います!     今までの更新コラム 第1回「高校入試のとらえ方(1) 種別と学科」第2回「高校入試の捉え方(2) 受験形態」第3回「内申ってなんだろう 高い内申をとるために必要なこと」第4回「内申点と将来の選択肢への影響」 第5回以降もお楽しみに!     1回目はこれから高校入試を迎えるにあたって、今から考えておいてほしいポイントをお伝えします。     最初に考えることは 高校入試にあたって最初に考えるべきは「高校の種別」をどうするか、というテーマです。 大きな方向性として考えるべきことは二つで、一つは公立か私立か、もう一つは学科をどうするか(普通科かそれ以外か)、ということです。           公立と私立の違い 公立と私立の違いについて、皆さんはいくつ挙げられるでしょうか。 学費に大きな違いがあるのはご存知の方も多いかもしれません。 私立は高いというイメージがおありでしょうが、今では国から「就学支援金」という学費支援があり(所得条件等あり)、私立もかなり通いやすくなっています。   他の違いで重要な点としては「教育内容」「教員」「施設・設備」などがあります。 公立と比べて私立は各学校の理念やスタンスに特色があるため、教育内容や取り組みも特徴的になりやすく、校風や生徒対応も学校によってかなり違います。 教員も公立の場合は数年で異動がありますが、ほとんどの私立では異動がないため教育の特徴を継続的にしやすい点も大きな違いです。 施設・設備も学校の理念や特色に合わせて違いがあり、グラウンドが広いとか、変わった特別教室があるとか、いろんな特色が際立っているのが私立の特徴です。       学科の選択 学科の選択も非常に重要なポイントです。 普通科は大学進学をベースに幅広く様々な学習を行い、進路選択の柔軟性を広く保つのが特徴です。 それ以外の学科の選択肢は多種多様で、よくある例だと商業・工業・理数・国際など、変わったところだとビジネスや舞台芸術などかなり専門分野に特化した学科もあります。 また、幅広く学んだり専門分野を深めたりという柔軟性の高いのが総合学科で、近年高校数が増えてきています。   興味のある分野があったり、専門的に強い分野を作りたかったり、という場合は普通科ではない方向性が向いているでしょう(理数系に特化するなら「高等専門学校」という選択肢もあります)。           大切なのは・・・? 一番伝えたいことは、「高校は義務教育ではない」ということ。 そもそも行くかどうかも決めていいですし、どんな選択肢を選んでもいいのです。 こうあるべき・こうした方がいいという大人の考え方も大切ですし、同時に本人がどういうことを学びたいか・どんな方向に進んでいきたいかを考えることも非常に大切なのです。   ぜひ高校入試を機会として、子どもの将来を真剣に話し合ったり、実際に学校に足を運んだりしてほしいと思います!       次回ももう少し高校入試のことについてご説明しようと思います。 入試制度や受験制度について、中学で力を入れるべきことについてお伝えします。           筆者:金澤 浩(かなざわ ひろし) 大手学習塾で20年以上指導し、様々な生徒を合格に導く。現在は共育コンサルタントとして講演会や個別での進路選択や学習の支援に取り組む

中学生応援コラム 第3回「内申ってなんだろう? 高い内申を取るために必要なこと」

皆さん、こんにちは! このコラムでは、中学生が学校の勉強をスムーズに進め、良い高校入試を迎えるサポートをするために、学校の勉強や入試に向けて取り組むべきポイントをお伝えしていきたいと思います!     今までの更新コラム 第1回「高校入試のとらえ方(1) 種別と学科」第2回「高校入試の捉え方(2) 受験形態」第3回「内申ってなんだろう 高い内申をとるために必要なこと」第4回「内申点と将来の選択肢への影響」 第5回以降もお楽しみに!     3回目の今回は、「内申点」について詳しく解説していきます。     内申点とは? 内申点は、通常1〜5の5段階で評価される、科目別の評価点です。この数値は現在の学習指導要領(日本の学校教育のルールブック的なもの)に基づいて、三つの観点で評価されて決められます。   その観点というのは (1)知識・技能 (2)思考力・判断力・表現力 (3)主体的に学習に取り組む態度 の3つです。   3つの観点 (1)の「知識・技能」は、小テストや定期テストなどの得点や、実技テストの評価などがメインになります。 以前は、内申点といったらこのテストの得点でほぼ全て決まっていた時期もありました。 しかし、現在ではテストが内申点に占める割合は全体の1/3です。他の二つの観点も高くないと、高内申は狙えなくなっています。 つまり「一夜漬け」のやり方では、内申点は高くなりづらいのです。     では残りの二つはどのような観点なのか、気になりますよね。   (2)の「思考力・判断力・表現力」は、2010年頃からクローズアップされてきた観点です。 テストの中で発展・応用問題として考えなければいけない問題が出てくるケースがありますが、それはこの力を測っているといえます。 テスト以外にも、レポートやノート、プレゼンテーションなど、工夫したり自分なりの考えを伝えたりするものに表れてくるので、提出物やプレゼンのクオリティを頑張って高めていくことが大切です。     (3)の「主体的に学習に取り組む態度」は、2020年頃の学習指導要領の改訂で盛り込まれた、新しい観点です。 読んで字のごとく、誰かにやらされてイヤイヤやるのではなく、自分で考えながら前向きに学習を進めていく態度そのものを評価する観点です。 テストや提出物などタイミングが決まるものではなく、まさに「日々しっかり学習しているか」を評価される、ということです。 ただ、家での様子まで学校側はわかりませんから、実際は授業を受ける姿勢であるとか、発言や参加の多さとか、課題や提出物などを最低限以上に取り組んでいるかとか、そういう数値にはならないようなものを先生たちが評価する、ということになります。   内申点を高めるには? 一般的には、これらの観点はABCで評価され、内申点はAAAだと5〜4、BBBだと3、CCCだと2〜1とされ、各自治体や学校の基準で決められます。 つまり、内申点を高めようと思ったら、どれか一つだけ頑張るのではなく、三つともしっかり取り組む必要がある、ということです。   通知表にこの観点別評価もはっきり明記されますので、自分が内申点を上げるためにどの観点に力を入れる必要があるのか、ということもわかります。 必要であれば、その科目の先生に直接、通知表を持って「何をすれば観点別評価を上げられるか」と聞いてみるのが効果的だと思います(それこそ「主体的」にやってみてください)!       次回は、この「内申点」がどれくらい入試に影響を持ってくるのか、それによって将来の進路選択にどのような影響があるのか、ということを説明していきます!       筆者:金澤 浩(かなざわ ひろし) 大手学習塾で20年以上指導し、様々な生徒を合格に導く。現在は共育コンサルタントとして講演会や個別での進路選択や学習の支援に取り組む

中学生応援コラム 第4回「内申点と将来の選択肢への影響」

皆さん、こんにちは! このコラムでは、中学生が学校の勉強をスムーズに進め、良い高校入試を迎えるサポートをするために、学校の勉強や入試に向けて取り組むべきポイントをお伝えしていきたいと思います!     今までの更新コラム 第1回「高校入試のとらえ方(1) 種別と学科」第2回「高校入試の捉え方(2) 受験形態」第3回「内申ってなんだろう 高い内申をとるために必要なこと」第4回「内申点と将来の選択肢への影響」 第5回以降もお楽しみに!     前回は内申点のことを詳しくお話ししましたが、今回はこの内申点が入試にどれくらいの影響を持つのかを解説していきます!     推薦入試の場合 まず推薦入試を受けようと考える場合、ほとんどの学校では内申点が評価の大部分を占めます。   なぜかというと、推薦入試は筆記試験を行わないため、内申点以外には面接、作文や小論文、実技試験などその他の試験に限りがあるからです。 学校によっては「内申点〜〜点以上」が出願の条件になることもあり(つまり〜〜点未満だと受けることすらできない)、また一部の学校では内申点〜〜点以上ならほぼ合格できるという基準を持っているケースもあります。     内申点は一切関係のない推薦入試の制度がある学校もありますが、非常に少数です。 内申点は中学校での日常の努力を評価したものなので、やはりどの学校も重視しているのです。       一般入試の場合 一般入試では、公立と私立で大きく扱い方が変わります。   公立高校 公立高校の一般入試では、どの都道府県でもほとんどの場合、なんらかの形で内申点と筆記試験の得点の両方が評価対象になります。 入試制度は自治体によってバラバラなので、ぜひお住まいの自治体の入試制度をしっかり確認してほしいと思います。   一例として東京都の場合は、中学三年時の成績を300点満点に、筆記試験の得点を700点満点に、ESAT-Jのスコアを20点満点に換算して、1020点満点で評価点を作って選抜を行います。     神奈川県の場合は中学二年時の成績と、中学三年時の成績を二倍した数値を内申点として使いますが、学校によって内申点を重視するか筆記試験の得点を重視するかが変わる制度になっています。         公立高校でも難易度の高い「トップ校」と呼ばれるような高校になると、内申点が一定より下だと、筆記試験でどれだけ得点が高くても逆転不可能な状況になる場合があります。 これはトップ校だと多くの生徒が筆記試験で高得点を取ってくるため差がつきにくく、内申点の差が大きな影響を持ってしまう、という状況です。     こうなると、内申点が低いだけでもう受験の選択肢から一部の高校が消えてしまう、という悲しい状況になります。 そういう意味でも内申点をしっかり取れるよう日々の学習から努力することは、極めて大切なことなのです。     私立高校 一方私立高校の一般入試はどうかというと、多くの場合で内申点を参考にしません。 制度上は内申点が非常に低くても、筆記試験の得点が基準をクリアすれば合格することができます。   私が現場で指導をしているときも、内申点がどうしても取れなくて公立は厳しいが、実力が高いので私立高校の一般入試を受けて合格した、という生徒は数えきれないほどいます。 ただし、その分競争は激しくなりがちですし、私立高校の入試問題は公立と比べて難しい場合も多いため、そう簡単に合格できるわけではない、ということも知っておいてほしいところです。             まとめ まとめとして伝えたいのは、「内申点は入試に大きく影響するから、しっかり頑張ろう!」ということです。 自分の進路の選択肢を多くするためにも、具体的な目標を持って日常から努力できるようにできたらと思います!   次回は内申点を高めるための一つの鍵である「定期テスト」に注目して、必要な準備の仕方やポイントを解説していきます!       筆者:金澤 浩(かなざわ ひろし) 大手学習塾で20年以上指導し、様々な生徒を合格に導く。現在は共育コンサルタントとして講演会や個別での進路選択や学習の支援に取り組む