調査!「教科カラー」って何色?
みなさんは、「この教科はこの色」というイメージを持っていますか?
たとえば、国語は赤、数学は青、など…です。
この色、ある程度似たような傾向になるかと思えば、「え?その色なの!?」と驚くこともありますよね。
SNSでも度々話題となっている問題です。
『教科書ワーク』の出版社、文理では、教科色がだいたい決まっています。
なぜ今の色なのか?を調査してみたいと思います。
事前にアンケートを実施
まず、世間的にはどういうイメージが多いのだろうか?
ということで、文理LINE公式アカウントの友だちを対象に、アンケートを実施しました。
ー実施内容ー
回答期間:2024/8/16~8/19
回答人数:609名
国語、算数・数学、理科、社会、英語それぞれについて、次の選択肢から選び回答
・赤系(ピンクも含む)
・青系
・緑系
・オレンジ系(黄色も含む)
・紫系
・その他
ご協力くださった皆さん、ありがとうございました!
早速結果を見ていきましょう。
国語は?
1位は圧倒的多数で、赤系(ピンク含む)でした!
次に多いのはオレンジ色で、暖色系のイメージが強いようです。
ちなみに国語がオレンジ系であるときは、英語が赤系であることが多かったです。
紫からは、古文や漢文のようなイメージも感じます。
算数・数学は?
これも圧倒的な得票差で、青系が1位でした。
他の教科と比べても、イメージが共通しているようです。
その中でも、暖色の赤や黄色などのイメージもあったのが意外でした。
その場合は、他のいずれかの教科で青系を選んでいることがほとんどでした。
理科は?
理科は1位が緑系、差はありますが、次点がオレンジ・黄色でした。
自然を扱うこと、理系科目で数学と同じ寒色のイメージがあることなどからでしょうか。
理科がオレンジ系である場合、社会を緑色と置いている場合が多いです。
理科は物理・科学・生物・地学と4分野があり、どの分野が最初に頭に浮かぶかによってもイメージは異なるのかもしれません。
社会は?
1位はオレンジ系(黄色を含む)でした。
2位は緑系で、そうとらえる場合は理科がオレンジ系になるケースが多いです。
または、理科が紫・社会が緑・英語がオレンジ系、もよく見られました。
オレンジ系が強い理由として、国語が赤、算数・数学が青、理科が緑と考えた場合は、
オレンジや黄色が残る、という可能性や、歴史や地理から土のイメージもあるのかもしれません。
(その他のうち、22票は茶色でした)
理科と同様に、地理は緑、歴史は茶色、公民は紫…など、分野によっても印象が変わるかもしれませんね。
英語は?
英語は比較的分かれる結果となりました。
1位は紫系ですが、オレンジ系、赤系もそこそこの得票です。
今回選択肢を統合してしまいましたが、4教科以外の色としてピンクや黄色を使うパターンが多いのかもしれませんし、
教科のイメージというより、他の4教科以外の色ということで、ばらけているのかもしれません。
特徴的だったのは「その他」の解答も多種多様であったことと、「何色でもない」「特にイメージがない」「虹色」などの解答があったことです。
結果について
大きな傾向としては、
国語=赤・ピンク
算数・数学=青
理科=緑
社会=オレンジ・黄
英語=紫
が多いようです。
国語が赤、算数・数学が青、はかなり強く、その他の色をどの教科に割り振るかには多少ばらつきがありますね。
ところで…
教科そのものに対して色のイメージを持つようになった、
というよりも、
『教科書ワーク』をはじめ、学習参考書にこの傾向が多いため、そちらからイメージが定着した、
という人も多いと思います。
実際、このアンケートの回答者の方々には『教科書ワーク』を使ってくださっている方も多いため、
今回の傾向は多少『教科書ワーク』に引っ張られていることも考慮しないといけないでしょう。
そこで気になるのは、
なぜワークはその色を使っているの?
ですよね。
私も気になります。
さっそく、文理の教科色はなぜこの色?を調査していきます!
文理の教科色
文理の教科色といえば、この配色です。
国語=赤・ピンク
算数・数学=青
理科=緑
社会=オレンジ・黄
英語=紫
ワーク以外のシリーズを見ても、全てのシリーズで踏襲されていますね。
(稀に、国語が赤の場合に英語にピンクを使うこともあります)
どうしてこの色なの?
結論からいうと、これだ!という答えは得られていません。
かなり昔から踏襲されてきている配色ですが、なかなかその理由までは語り継がれておらず、
当時の詳しい状況を知る人に話を聞くことが容易ではない状況です。
いつからこの色になった?
とはいえ、わかりませんでした!では終われない!ということで、
「いったいいつから今の色の組み合わせなのか?」を調べてみることにしました。
さっそく、文理の古いカタログを引っ張り出してみます。
カラーで確認できる最も古いカタログ(昭和54年!)を見てみます。
当時、まだ『教科書ワーク』は発売していないのですが…
『教科書ドリル』を見てみると、なんと今とは色がちがっています!
国語 黄色
社会 ピンク
算数 青
理科 緑
また、当時あった『絶対』というシリーズでは、
国語 ピンク
数学 青
理科 緑
社会 茶色
英語 オレンジ
になっていました。
途中までは同じですが、社会が茶色、英語がオレンジですね。
教科ではなく学年で色わけされているシリーズも多いようです。
つづく昭和55年は、教科書ワーク発刊の年!
早速見てみると、国語がオレンジ、算数が緑での発刊でした。
昭和58年には、教科書ワークに理科・社会が登場します!
国語 赤
算数 緑
理科 藤色
社会 ピンク
ちなみにこの年装丁が一新された教科書ドリルでは、緑色だった理科が黄土色になっていました。
緑=理科で定まっていたわけではないようです。
昭和59~60年には、中学教科書ワークが登場!
国語 オレンジ
数学 緑
理科 藤色
社会 ピンク(紫?)
英語 青
小学校の教科書ワークに合わせつつ、初登場の英語は青でした!
そしてついに
変化が起こったのは昭和61年度でした。
この年の改訂で、教科書ワークがついに
国語 ピンク
算数 青
理科 緑
社会 オレンジ
の今の形に!
新刊の教科書準拠ドリルも、同様の色分けになりました。
翌年の中学教科書ワーク改訂で、こちらも小学校と揃った色かつ英語は紫、となり、
ここから『教科書ワーク』としては、この配色が固定になっています。
ちなみに、教科色として黄色が入っていないのは、教科書ワークのデザインが黄色ベースだったからと思われます。
ほぼ同時期に発刊された塾向け教材はまた異なる色分けだったので、
この時点では、文理の方針として教科色が定まったというレベルではなさそうです。
2000年ごろのカタログから、発行銘柄一覧のページがカラーとなっており
そのページの教科の色分けはこのようになっています。
国語 ピンク
算数 水色
理科 黄緑
社会 茶色
英語 薄紫
2000年代からは、そういうもの、という雰囲気はすでにありそうですね。
※社会については、店頭での見栄えを意識して茶色よりはオレンジが使われるようになっていき、
現在ではカタログの発行銘柄一覧の色分けでも、オレンジになっています。
その後を見ていくと、『教科書ワーク』以外のシリーズでは教科色を使わないデザインも多かったのですが、
2007年発刊のトップクラス問題集や、2008年発刊の完全攻略シリーズの時点では、
教科色がお決まりのものとして定着しているように見えます。
↓トップクラス問題集
↓完全攻略
調査結果
ということで、文理の教科色が初めて登場したのは、
昭和61年の『教科書ワーク』
翌62年の『中学教科書ワーク』
でした。
その後、この配色が定着してきていることから、このときの『教科書ワーク』の配色決めが大きな影響を持ったことは間違いありません。
残念ながら、その昭和61年になぜその色に決めたのか?について、有力な情報は得られていません。
そこで、仮説を考えてみました。
教科書ワークはなぜこの色?仮説を考えてみる
※あくまで文理の『教科書ワーク』の場合であり、あくまで仮説です。
まず最初に国語・算数が発刊されたときは
算数は寒色、国語は暖色、というイメージがあった上で、デザイン的なバランスから算数・数学を緑、国語を赤に。
理科・社会が追加されると、理科は寒色かつ算数と区別できる青、社会は暖色かつ国語と区別できるピンク。
と決めていったのではないでしょうか。
つまり、昭和58年の
国語 赤
算数 緑
理科 藤色
社会 ピンク
は、こだわりがあったというより、結果としてそうなったということです。
そして昭和61年、全教科そろった状態での改訂となったときに、改めて教科の色を考えたはずです。
そしてその時には、
まず、表紙デザインのベースが黄色であることから黄色は入れない!
算数・数学は理系・数字・合理的等のイメージから青!
国語は算数・数学との対比で赤
理科は自然からの連想で緑!
社会は算国理とのバランスや、地理・歴史からの連想で茶色、見栄えを考慮してオレンジ!
英語はそれらと異なる色で紫!
と、連想されるイメージや、イメージの強い教科とのバランスから決められたのではないでしょうか。
お店で並んだ時の見栄えも意識する学習参考書においては、この、教科間のバランスという要素も結構大きいと思われます。
多くの学習参考書においてこの配色が採用されているのも、同じような事情かもしれません。
おわりに
教科色のイメージというものは、
その教科自体から連想されるイメージと、
学習参考書の出版社側の配色やデザインの都合が、
お互いに影響し合ってできているようです。
すべての出版社が文理と同じ考えではないため、使うワークによって配色は変わりますし、
同じ教科でも何を思い浮かべるか(小説か古典か、化学か地学か、地理か歴史か)によって、
抱くイメージは変わってきます。
また、学校のワークでは学年で色が分かれていることも多いため、
そのイメージが残っている人もいるでしょう。
文理がなぜこの教科色を使うのか?について、
多くを推測に頼ることになり、明確な答えには至りませんでしたが…
一つの明確な理由・こだわりがあるようなものではなく、社内でも徐々に形成された、というのが正解なのかもしれません。
2学期が始まったら、ぜひクラスの人とお互いの教科色について話してみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
また調査が進展することがあれば、記事を書きたいと思います。
◆◇今回の執筆者◆◇
イニシャル:M.I.
所属:営業部門
年齢:20代
今回のひとこと:
自分は文理と同じ色の組み合わせを想起するのですが、
もともとそのイメージを持っていたのか、
文理に入社してそうなったのか、もはやわかりません。