素数って何?基本を知ろう
素数の定義をわかりやすく
素数とは、「1とその数自身の積でしか表せない自然数のこと」です。
言い換えると、「1とその数以外に約数ををもたない(約数が2つの)自然数」が素数となります。
2、3、5、7、・・・
などが素数ですが、例えば7は、1と7でしか割り切れませんから、素数です。
4や6は、1とその数自身でも割り切れますし、それぞれ2と3でも割り切れますので、素数ではありません。
素数を中学数学で学ぶ理由
素数は、数学の基礎となり、中学数学・高校数学を学ぶうえで必要不可欠な知識となります。
中学では、素数は「素因数分解」や「平方根」で使います。
自然数を素数の積だけで表す素因数分解では、言うまでもなく素数が重要な役割をもっています。
また、小学校5年生で習う「最大公約数・最小公倍数」でも、実は素数が鍵となっています。
数学の基礎となる素数はしっかりと理解を深めておく必要があります。
素数は中学数学でどのように使うの?
素因数分解で使う例
自然数を素数の積だけで表すことを素因数分解といいます。
素因数分解の基本手順はしたのようになります。
したがって、84を素因数分解すると、2×2×3×7となります。(実際の問題に答える際には、2²×3×7としましょう。)
最大公約数・最小公倍数の計算での役割
先ほど、最大公約数・最小公倍数で素因数分解が使えると書きましたが、どのように使うのでしょうか。
たとえば、90と162の最大公約数と最小公倍数を考えます。
90と162をそれぞれ素因数分解すると、こうなります。
これを、下のように縦にそろえて書きます。
90と162の最大公約数は、したのように考えて、18だということがわかります。
90と162の最小公倍数は、したのように考えて、810だということがわかります。
このように、最大公約数や最小公倍数を求める際には、素因数分解が役立ちます。
素数を見分ける方法
小さな数で割り算してみる
素数かどうかを見分けるために、小さな数で割り算をしてみるという方法があります。
【手順】
1. まず2で割ってみる 偶数はすべて2で割り切れるので、2以外の偶数は素数ではありません。 例:4、6、8…は2で割り切れるので素数ではない。
2. 次に3で割る 3で割り切れる場合、その数も素数ではありません。 例:9、12、15…は3で割り切れるので素数ではない。
3. 5で割る 最後の数字が0か5で終わる数は、5で割り切れるため、素数ではありません。 例:10、15、20…は5で割り切れるので素数ではない。
4. 7、11、13、19…と暗記している素数で割る
エラトステネスの篩(ふるい)を使う方法
こちらの方法は、中学数学では習わないのですが、
「エラトステネスのふるい」という名の通り、ふるいにかけるように、多くの数のなかから素数を見つけのに便利です。
この方法を使って、1~40までの範囲の素数を見つけてみましょう。
【手順】
1. 1を消す
2. 最も小さい素数を残したまま、その素数の倍数をすべて消す。 この場合は、2を残して、2以外の2の倍数をすべてふるい落とします。
3. 残っている中で最も小さい素数を残したまま、その素数の倍数をすべて消す この場合は、3を残して、3以外の3の倍数をすべてふるい落とします。
4. 手順3を最後まで繰り返す。 4はすべてふるい落とされているので、5を残して、5以外の5の倍数をすべてふるい落とします。 最後まで繰り返すと、下図のようになります。
中学のテストでよく出る素数判定問題
中学のテストでは、ある数が素数かどうかを見分ける問いがよく出題されます。
例えば、
問題:101は素数か答えなさい
解答:101の約数は「1」と「101」の2つなので、101は素数である。
などです。
上記で紹介した方法などを用いて、素数かどうかを見分けます。
中学では覚えておくべき素数
中学の問題では、少なくとも【2,3,5,7,11,13,17,19】あたりまでの素数を暗記しておくとよいでしょう。
暗記をしておくことで、素数を見分ける問題が楽に解けるようになります。
もちろん、素数はずっと続いていきますので、興味があれば暗記してみても面白いかもしれないですね。
素数に関するよくある質問
・1は素数じゃないの?
素数の定義をみてみると、「1とその数以外に約数ををもたない(約数が2つの)自然数」となっています。
たとえば、2の約数は1と2の2つ、7の約数は1と7の2つ。
1は、約数が1自身の1つだけしかないので、素数ではないということになります。
・なぜ2は素数なのか?
なんとなく、2は偶数だから素数ではない気がしてしまいますが、2は素数です。
2は、「1」と「2」自身の2つの約数をもつ自然数なので、2は素数となります。
うっかりミスで、2が素数ではないと勘違いしないようにしましょう。
・素数は無限にあるの?
素数は無限に存在します。
素数が無数に存在することの証明は、色々な方法でされています。
有名なのは、背理法によるユークリッドの証明です。こちらは紀元前に発見されたものです。
そのほかにも、フェルマー数を用いたゴールドバッハの証明や、2006年に発表されたサイダックの証明などがあります。
・素数は何年生で学ぶ?
素数は、中学1年生で学びます。
現行の学習指導要領では、素数を1年において扱うことにより、
素因数分解を自然数、素数、倍数、約数、公倍数、公約数などと関連づけ、
整数の性質を探るひとつの道具として利用することができるとしています。
参考:文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説」2017年
▼文部科学省ホームページ
中学校学習指導要領解説:文部科学省
・100までの素数リストは?
1~100までに、素数は
「 2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97」があり、全部で25個あります。
下図の白い背景のマスが、素数です。
素数の面白い応用例
素数は、とても不思議な数字です。
身近でも、素数の面白い応用例や、素数に絡んだ不思議なことがたくさんあります。
インターネットの暗号に使われる素数
インターネット上の情報を守るのに「暗号化」という技術が使われていますが、この暗号化において素数が重要な役割を担っています。
とある文書があったとき、素数×素数のかけ算で文書に暗号をかけます。
第三者には、かけ算の結果が公開されています。
暗号を元の文書に戻すためには別の鍵が必要です。
この鍵を得るためには、自然数=素数×素数と、逆の計算をしなければいけません。
地道に計算するので、素数の桁が大きいほど大変です。
簡単な例で考えると、19×23のかけ算はひっ算を使えばすぐできるけど、437=19×23を逆の計算をするのは大変ですよね。
この作業は、コンピューターでも膨大な時間がかかるため、インターネットのセキュリティでは素数が重要な役割を担っているということです。
自然界の不思議:セミと素数の関係
素数ゼミとよばれるセミを聞いたことがあるでしょうか。
素数ゼミとは、生き残り戦略のために、13年、もしくは17年の間、地中にいるセミのことです。
それでは、なぜ素数である13年、もしくは17年の間、地中にいることが生き残り戦略となるのでしょうか。
その秘密は、最小公倍数にあります。
例えば、13年ゼミ周期で土の中から出てくる素数ゼミに、3年周期で発生する天敵がいたとします。
天敵が3年周期で発生していても、同じ年に13年周期ゼミが地上に出るのは、上の表のように39年経ったときのみです。
39は、13と3の最小公倍数です。13が素数であるため、3を約数に持たないことから、この最小公倍数が大きくなっています。
仮にセミの地上にいる期間が1年短い12年だとすると、地上に出れば毎回3年周期で発生している天敵がいるということになってしまいます。
セミの発生周期が素数であることは、その数自身しか約数がない自然数である素数を地上にでる周期にすることで、
天敵とできるだけ出会わないようにする、セミの生き残り戦略と考えることができます。
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まとめ
いかかでしたか。
今回の記事では、素数の定義から中学数学で押さえておきたいポイント、素数を応用した例までご紹介しました。
素数は数学の基礎であると同時に、どこか不思議な数字ですよね。
素数を通じて数学の魅力に触れ、ぜひ今の学びを深めてみてください!