「全国学力テスト」正答率21.1%の難問でも解ける子になる 思考力・判断力・表現力
突然ですが、次の問題の答えはわかりますか?
(出典:「令和5年度 全国学力・学習状況調査 小学校算数 調査問題」より)
これは「令和5年度 全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)小学校算数の問題です。
答えは3ですが、解答根拠の記述も含めて正確に解答できた子どもは21.1%しかいない難問でした。
今回は、どうしてこの問題の正答率はこんなに低かったのか、また正解を導けるようになるにはどうしたらよいのか、いっしょに考えてみましょう。
1.「全国学力・学習状況調査」とは?
本題に入る前に、「全国学力・学習状況調査」について確認しておきましょう。
「全国学力・学習状況調査」とは文部科学省が全国の小学6年生と中学3年生を対象として、学力および学習状況の調査を目的として行っているものです。
学力を問うテストと、児童・生徒の学習・生活環境のアンケートが行われます。
2.誤答を選ぶのにもわけがある
さて、本題に戻りましょう。
先ほどの問題ですが、誤答である選択肢4を選んだ子どもは26.5%もいます。
そして、そのうちの16.8%が解答根拠の記述で同じように答えているのです。
その誤答の典型とは次のようなものです。
(出典:「令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書 小学校算数 速報版」p.49より)
このように考えた子どもの思考プロセスについて、もう少し深く考えてみましょう。
あなたは、「2つ三角形の面積を比較せよ」といわれたら、どのような順番で考えますか?
1⃣ 公式を使ってそれぞれの三角形の面積を求める
2⃣ 1⃣で求めた面積を比較する
というプロセスで考えるのではないでしょうか?
誤答4を選んだ、16.8%の子どもたちはこのプロセスで思考したと考えられます。
このように、誤答4を選んだ場合でも、三角形の面積の求め方の知識はあり、そこから論理的に考えようとしているのです。
だからこそ、この問題は間違えやすく、難問だといえるでしょう。
では、正答3を選んだ子どもは、どのように考えているのでしょうか?
3.正答を選ぶのに必要な、着眼点と思考力・判断力・表現力
この問題の模範解答は、次のようになります。
(出典:「令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書 小学校算数 速報版」p.43より。下線は筆者による)
ポイントは、下線を引いた部分です。
テープの幅が三角形の高さを表しているいうことに気がつくかどうかが、この問題を解けるかどうかのカギになります。
そこに気がついた子どもたちは、次のように考えたことでしょう。
面積を求めて比較しようとしているのではなく、公式の意味を理解し、底辺と高さそれぞれを比較して解答を導き出しているのですね。
このように、この問題を解くには、「テープの幅=高さ」であることに気がつく着眼点と、底辺と高さの比較から、三角形の面積を比較しようとする思考力・判断力、そしてそれを言語化して記述できる表現力が必要になります。
4.思考力・表現力・判断力が求められる問題に答えられるようになるには?
ここでは、「全国学力・学習状況調査」の問題を取り上げましたが、中高一貫校の適性検査、高校入試、入試共通テストなどでも思考力・表現力・判断力を必要とする問題が増加しています。
将来お子さまが進学する際に、必ずといっていいほど、思考力・判断力・表現力を問う問題に遭遇するでしょう。
では、いまうちから思考力・判断力・表現力を育むにはどうすればよいのでしょうか?
まずは、基礎となる知識を定着させましょう。
思考力系の問題は、知識そのものではなく、その知識を使って正しく考えられているかを問うものになっています。
だから、ベースとなる知識の習得は不可欠です。
そのうえで、いろいろなタイプの問題に触れてみることをおすすめします。
テストの問題には正答や模範解答が用意されています。
つまり、そこには出題の意図があり、思考力系の問題では「どの知識を、どう活用すると正解できるのか」が決められているのです。
いろいろなタイプの問題に触れることで、出題意図の意図を読み取り、正解への筋道を立てられるになるでしょう。
5.小学生へのおすすめ教材は「トクとトクイになる! 小学ハイレベルワーク」
小学生のうちから思考力・表現力・判断力が求められる問題に触れるには、「トクとトクイになる! 小学ハイレベルワーク」がおすすめです。
こちらは、ハイレベル層をターゲットとした小学生用の問題集で、次のような特長があります。
○思考力・判断力・表現力の基礎が身につく!
さまざまな問題を収録しており、自ら答えを導く力を養うことができます。
○教科書の一歩先を行く学習ができる!
学校の学習範囲を超えた内容まで、無理なくステップアップできます。
○ていねいな解説で理解が深まる!
答えへといたる道筋を順序だてて解説しているから、わかりやすく、しっかりと身につきます。
○CBTで実力を確認できる!
Computer Based Testing(コンピューターを使用した試験方式)で自宅にいながら、WEB上の本格的なテストを体験できます。
「トクとトクイになる! 小学ハイレベルワーク」は、思考力系の問題を含むハイレベルな問題でも、自ら正しい答えを導き出せる力を養うのにぴったりのシリーズです。
この本で、難しい問題でも解けるようになる思考力・判断力・表現力を養いましょう。
(出典:国立教育政策研究所「令和5年度 全国学力調査 報告書・結果資料」